2024年3月23日
改めましてこんにちは。TPGの鮫島(仮名)です。
今回は、東京工業大学に入学される皆さんが、中学校あるいは高等学校の教員免許状を取得したいと考えるとき、どうすればいいのかを説明します。
※なお、本情報は2022,2023年度の情報をもとにしていることがあります。最新の情報は教務課、あるいは東工大教職ページをご自身でご確認ください。
では、始めましょう。
1.教職とは何?
2.知っておいてほしいこと
3.全体の流れ
4.まとめ
一般に、「教職とってる? –
へ―、取ってるんだ。」や「教職って課題多いって聞くけどどうなの?」などといった会話で用いられる『教職』という言葉は「教職科目」のことを指していて、教員免許を取得するために必要な「教職に関する必修科目」のことを主に指しています。この「教職に関する必修科目」は基本的にGPA・GPTや系所属点、卒業単位数などには含まれないため(一部例外あり)、『「教職に関する必修科目」を履修している』ことと『教員免許をとろうとしている』ことは同値として扱われます。
東工大では、数学(中学・高校)・理科(中学・高校)・情報(高校)・工業(高校)の免許状を取得することができます。教員免許を得るためには、以下の単位を修得する必要があり、必要単位数は免許状の種類などによって多少前後します。
ここで★について詳しく説明しましょう。
説明でも述べた通り、『教科及び教科の指導法に関する科目』というものは、いわゆる普通の科目です。一覧は教職ガイドブック(4月のオリエンテーションで配られる)にのっているのですが、例えば数学の免許を取りたいことを例に見てみましょう。
教職ガイドブックには、数学に関して以下の「教科及び教科の指導法に関する科目」に関する2つの表が載っていました。
上の表は理学院で開講されている科目を用いた数学教員免許に必要な単位で、下の表は情報理工学院で開講されている科目を用いた数学教員免許に必要な単位になります。いずれの表を選んだとしても、必修にマークがついている単位を含めた24~28単位程度(免許状種類による)を修得する必要があります。
ところで、たまに以下のような説明がなされる場合があります。
これを見ると、例えば数学の免許は理学院あるいは情報理工学院の学生しか取れないのかのように見えますが、それは違います。取得免許の科目に関わらず、必要な単位が修得できていればいいのです。
引き続き例として数学の免許を取ることを考えてみましょう。数学の「教科及び教科の指導法に関する科目」として挙げられた表には、上の通り、「理学院で開講されている専門科目を主に含むもの」と「情報理工学院で開講されている専門科目を主に含むもの」の2つがあります。例えば、理学院の方の表を見ると、理工系教養科目(100番台で主に一年次に履修する科目)の他に、数学系専門科目という科目が多く入っていることが分かるかと思います。このような科目は数学系の専門科目ですので、数学系の学生は卒業や研究室所属(・進級)などに必要な単位等に用いることができますが、他の系・学院の人は履修し単位を得ることができたとしても、卒業単位の専門科目の単位にカウントされないことが多いです。
数学系の人が数学の免許をとろうとしたときには、「教科及び教科の指導法に関する科目」に挙げられた科目を履修すれば、卒業や研究室所属などに必要な単位としても、教員免許状取得に必要な単位としてもカウントすることができるのですが、そうでない人は、自身の系の専門科目とともに、数学系の専門科目を20単位以上習得する必要があるということです。
一年のうちに履修できる単位数には上限があり、48~56単位の間です。このことを踏まえても、自分の系外の専門科目を用いて教員免許状を取得することのハードルはある程度高く、一年次から計画的な科目履修が必要になるほか、重要度が低い科目に関しては履修をあきらめざるを得ないことも指摘できます。故に上のような学院と科目の対応が紹介されることがあります。逆に言うと、学院と科目にはこの制限の他はなく、系外専門科目をとることさえできれば学院・系に関係なく好きな科目の免許状を取得することができると言え、実際に工学院でありながら、数学や理科の免許状をとったりする事例が見られます。
上記を含めた、最新の情報については、例年1Qの授業が始まった最初の週の水曜日の昼休み頃に、オリエンテーションが行われます。教職をとりたいと思っている学生は、このオリエンテーションに必ず参加し、『教職ガイドブック』なるものをゲットしましょう。これには、ここで説明したようなことを含めすべての必要な情報が書かれています。オリエンテーションの参加とともにこのガイドブックを読み込みましょう。
ただし、履修登録はオリエンテーション前に始まり、一部の授業はオリエンテーション前に初回が行われてしまいます。よって、以下の項目に注意しましょう。
・1年1Q・2Qに履修登録する教職科目は以下の4つ
・発達と学習I(1Q)とII(2Q)
・教職概論A(1Q)とB(2Q)
・生徒・進路指導論(集中講義)
・教育相談論(集中講義)
・【理科の免許取りたい人は】物理学実験・化学実験
・ウェルネス実習科目(例年人気で抽選などになることもあるので、1,2Qに履修することがおすすめ)
特に、実験系は初回オリエンテーションへの参加が必須だったり、事前に抽選が必要だったりするので、注意しましょう。他の科目については、教職オリエンテーションでの案内を待っていても大丈夫だと思います。
夏休み中に、集中講義として、「教科教育法」なるものが開講されます。数学・理科・工業の人はそれぞれ「数学科教育法I・II」・「理科教育法I・II」・「工業化教育法I・II」、情報の人は「情報科教育法I」です。
このうち一部の科目は教職ウェブサイト上で推奨学年が2年になっているものがありますが、これらも1年次に修得することが推奨です。これは、2年次1Qに開講される『教育工学』並びにそれに続く科目は、前提科目があり、その科目を修得していない限り履修が認められていないからです(救済試験あり)。これには、推奨学年が2年以降の科目ももれなく課せられています。
夏休みということもあり、忘れがちですが、もれなく履修するようにしましょう。
1年生から教職課程を履修する場合、およそ以下のような流れになります。
1年生:教職の基礎科目を履修する。年末には数多くの集中講義が開講され、割と忙しかったりする。
2年生:『教育工学』等。授業数は少々少なくなるが、より実践的なものが多く、指導案の書き方や授業の設計方法など暗記すべき事項が多い。
3年生:次年度の教育実習に向けてのオリエンテーションや準備・課題・講義などがある
4年生: 教育実習やその関連、その後の実践演習などがある
教職科目はオリエンテーションの時にも釘を刺されますが、学院・系の専門科目と平行して履修していかなければならず、大変だという声も大きいです。1年次の年末は2週間連続土日両方集中講義で休みがなかったり、2年次の教育工学の中間試験で履修が取り消されたりと様々なハードルがありますが、当然ですが無理ではありません。
中学校・高校の先生を目指している人はぜひチャレンジしてみましょう。途中でやめるのは無料ですが、途中から始めるのは色々と大変ですよ。
ということで、今回は東工大の教職課程のイメージについて紹介しました。ただし、このページの内容は2022年度・2023年度の情報をもとにしているため、2024年度以降履修する人向けの情報とは異なっていることが予想されます。
必ず、教職ウェブサイトや教職ガイドブックなどの公式情報をご自身でご確認されるようお願いいたします。
何か、わからないことや教職関連に関わらず、学生生活に関する疑問点や質問がありましたら、Taki
Plaza Gardenerにご相談ください!
では。